金属を使わない治療（メタルフリー治療）とは
すでにお口に銀歯が入っている、という方も多いのではないでしょうか。
歯科治療では、保険で治療を行う場合、奥歯など強度を必要とする場所には通常金属が用いられます。保険の白いものだと力のかかる場所の場合、壊れてしまいやすいためです。ですが、金属を使用することで見た目や健康面への影響が心配、と言う方もだんだん増えてきています。
最近では、材料の度重なる改良により、金属を使わなくても強度に優れる材料が開発されてきており、患者様でも金属を使わない治療を選ばれる方が増えてきています。
金属を使った治療の問題点
金属は強度に優れており、保険治療の場合、安価なのが魅力ですが、次のような問題点があります。
1.審美面での問題
銀歯がチラッと見えるだけでいかにも治療した、と言うのがわかってしまいますし、なんとなく老けた印象を与えてしまいがちです。また、金属が唾液に徐々に溶け出すことで、歯茎を黒く変色させてしまうこともあります。
2.金属アレルギーの問題
金属は唾液中にイオンとなって溶け出し、金属アレルギーを起こしてしまう場合があります。これは全ての人に起こるわけではありませんが、年々歯科金属アレルギーの症状を起こす人は増えてきていると言われています。歯科金属アレルギーでは、お口の中のアレルギー症状だけでなく、離れた部分の皮膚にも湿疹やアトピーのような症状を起こすこともあります。ずっと金属を入れてなんともなかった人でもある日突然発症することもあります。
3.口臭の問題
金属は腐食や劣化が起こりやすく、歯との間に隙間ができてその部分に細菌が繁殖し、口臭を引き起こすことがあります。
メタルフリー治療の例
メタルフリー治療では、歯の色に似せた白い色の材料が使われますので、審美的に治療ができます。代表的なメタルフリー治療としては、次のようなものが挙げられます。
1.コンポジットレジン（歯科用プラスチック）
前歯の虫歯の治療の場合や、奥歯の小さめの虫歯の治療の場合によく保険で行われます。プラスチックなので、年数がたつと変色してきますが、より審美性に優れた保険外の材料を選ぶこともできます。
2.ハイブリッドセラミック（コンポジットレジンとセラミックのハイブリッド）
コンポジットレジンとセラミックを混ぜ合わせ、両者の良いところを兼ね備えた材料で、安価にセラミック治療を受けたい方におすすめです。ただし、プラスチックが入っているので、年数が経つと、変色する可能性があります。
3.オールセラミック
セラミックのみを使用した材料で、体に害がなく、審美性にも大変優れています。ご自分の歯と同様の色、透明感を持たせられるので、治療したことがほとんどわかりません。傷がつきにくく材質的にも非常に安定しているので、年数が経っても変色することがなく、虫歯や歯周病が起こりにくい、口臭を起こしにくいなど数多くのメリットがあります。
近年では、より強度に優れたジルコニアと呼ばれるセラミックを使用することにより、ブリッジや奥歯の力がかかる場所でも金属を使用することなく治療ができるようになってきました。
このように、金属を使わずに治療できる方法はいくつかあります。興味のある方はお気軽にご相談ください。
