根面虫歯(根面う蝕)の治療

院長より
「歳をとったら虫歯は減る」ではありません。「若い頃より虫歯はできにくくなった」と思われる方は多くいらっしゃいます。
しかし実際には、加齢とともに根面虫歯(根面う蝕)が大幅に増加します。
日本は世界でも長寿国であり、歯を多く残せる時代になりましたが、その分、歯ぐきが下がり、露出した歯根がむし歯になるリスクが高まっています。
根面虫歯は進行が早く、自覚症状が乏しいため、「気づいた時には大きく削らざるを得ない」というケースも珍しくありません。
当院では、早期発見・低侵襲治療・再発予防まで一貫してサポートし、歯を長く守る診療を行っています。

根面虫歯(根面う蝕)とは?

根面虫歯(根面う蝕)は、歯周病や加齢などにより歯ぐきが後退し、本来保護されていた歯の根の表面(象牙質やセメント質)が露出した部分に発生する虫歯です。歯の頭部(歯冠)を覆うエナメル質と比べて、根面を覆う組織は酸に対する抵抗性が非常に弱く、虫歯菌によって容易に溶かされてしまいます。そのため、一度発生すると進行が速く、周囲に広がりやすい特徴があります。高齢化社会において、歯の残存率が高まるにつれて増加傾向にあり、歯の寿命を脅かす重要な問題となっています。早期発見と徹底した口腔ケアが非常に重要です。

根面虫歯が増える主な原因

根面虫歯が増加する最大の原因は、加齢や歯周病などによる「歯ぐきの後退(歯肉退縮)」です。歯ぐきが下がると、本来、歯槽骨と歯ぐきに守られていた歯の根の表面(根面)が露出し、その部分が虫歯菌の攻撃にさらされます。歯の根面を覆う象牙質やセメント質は、歯冠のエナメル質と比べて酸に対する抵抗性が非常に弱く、虫歯になりやすい(臨界pHが高い)ため、あっという間に進行してしまうのです。さらに、高齢者層では唾液分泌量の減少(薬の副作用や加齢)、プラークコントロール能力の低下、そして不適切な口腔ケアが複合的に作用し、根面虫歯のリスクを著しく高めています。 

  • 歯周病や加齢による歯肉退縮(歯ぐきが下がる)
  • 加齢・薬剤・疾患による唾液量の減少
  • プラーク付着・清掃不良
  • 酸性飲料・間食習慣
  • 強すぎるブラッシングによる擦過傷
  • 長期の補綴物・修復物の段差
  • 糖尿病・ドライマウス・放射線治療など全身要因

よくみられる症状

  • 歯の根元が黒い・茶色い
  • 冷水・甘味でしみる
  • 詰め物がよく外れる
  • 歯ぐき付近のざらつき・欠け
  • 特に症状はないが検診で指摘された

※痛みが出る頃には、内部で大きく進行している場合があります。

なぜ高齢期に多いのか?

日本では80歳で平均約20本の歯が残る時代になりました。歯が残る=健康という一方で、歯根が露出する機会が増え、根面虫歯が増加しています。また、加齢や服薬による唾液減少は、口腔乾燥を招き、虫歯リスクを大きく高めます。

当院の根面虫歯治療の特徴

① マイクロスコープによる低侵襲治療

拡大視野で虫歯のみを選択的に除去し、健康な歯質を最大限残します(MI治療)。

② 根面に適した修復材料を選択

強度・接着性・耐湿性を考慮し、コンポジットレジンやグラスアイオノマーなどを使い分けます。

③ むし歯の原因を可視化した予防指導

ブラッシング・フッ素・生活習慣・唾液量まで多角的に評価し、再発を防ぎます。

④ 歯周病との統合管理

歯ぐきの状態こそ根面虫歯リスクに直結するため、歯周治療・メインテナンスを重視します。

根面虫歯の主な治療方法

① 初期段階(C0〜C1)

  • フッ素塗布
  • 高濃度フッ素配合歯磨剤
  • 再石灰化促進・経過観察
  • 生活習慣改善指導

削らずに改善できる可能性があります。

② 中等度(C2)

マイクロスコープ下で感染歯質のみを除去し、レジン修復を行います。

③ 高度(C3〜神経まで到達)

歯髄保存治療または根管治療が必要となる場合があります。

④ 残存歯質が少ない場合

クラウンや支台築造など、破折防止を考慮した補綴治療を検討します。

治療しないまま放置すると

根面虫歯を放置すると、急速に進行し、深刻な問題を引き起こします。根面はエナメル質のような硬い層で守られていないため、虫歯がすぐに内部の象牙質を溶かし、歯髄(神経)へと感染が到達する危険性が高まります。神経まで感染が及ぶと、激しい痛みが生じるだけでなく、最終的には抜髄(神経を抜く)や抜歯が必要になる可能性が高まります。また、歯の根元は歯周組織に近いため、虫歯の進行が歯周病を悪化させたり、歯の破折を招いたりするなど、歯全体を失うリスクに直結します。早期の発見と治療が、歯の寿命を守る鍵となります。 

  • 急速に進行し歯質が大きく失われる
  • 根管治療・抜歯が必要になる
  • 噛む力が低下する
  • 破折リスクの上昇
  • 複数歯に連鎖的に広がる

治療の流れ

  1. 問診・生活習慣・リスク評価
  2. レントゲン・口腔内診査
  3. 歯周・唾液検査
  4. 治療計画の説明
  5. 低侵襲治療(必要に応じて)
  6. 修復処置
  7. メインテナンス・再発予防

再発を防ぐために大切なこと

  • 3〜4ヶ月ごとの定期メインテナンス
  • 高濃度フッ素・MIペーストなどの使用
  • 適切なブラッシング圧・道具選択
  • キシリトール活用
  • 酸性飲料の摂り方改善
  • ドライマウス対策

よくある質問(Q&A)

Q. 根面虫歯は治療しても再発しやすい?

再発しやすい部位ですが、材料選択・口腔衛生・メインテナンスで大幅に抑えられます。

Q. 痛みがない場合は様子見でも大丈夫?

根面虫歯は無症状で進行するため、早期治療が推奨されます。

Q. 高齢でも治療できますか?

全身状態を踏まえ、安全性を確保した上で治療可能です。

Q. 入れ歯・インプラントに影響しますか?

支台歯や隣接歯が失われると治療計画に影響するため、早期対処が重要です。

新宿で根面虫歯の治療をご検討の方へ

根面虫歯は、気づきにくい・進行が早い・再発しやすい——という特徴を持つため、早期発見と予防が非常に重要です。
当院では、MI治療と予防歯科を軸に「削らない・抜かない・長く残す」診療を行っています。
歯の根元の黄ばみ・黒ずみ・しみが気になる方は、お気軽にご相談ください。

◎初診相談・セカンドオピニオンも受付中です。