急性歯髄炎(歯の神経の炎症)

院長より
急性歯髄炎は、虫歯や外傷などにより歯の内部にある歯髄(神経・血管)が炎症を起こした状態です。
ズキズキする強い自発痛、夜眠れない痛み、温かいもので激痛が走るなど、日常生活に大きな支障をきたします。自然治癒はほぼなく、放置すると神経が壊死して膿が溜まり、顎骨感染へ進行する危険があります。
当院では、痛みの緩和と歯の保存を最優先に、精密診断のうえ適切な治療を行います。
突然の激痛でお困りの場合も、まずはご相談ください。

急性歯髄炎の主な症状

  • ズキズキと脈打つような激しい痛み
  • 温かい飲食物で強く痛む
  • 痛みが数分~数時間続く
  • 夜間・就寝中に痛みが増す
  • 痛みの場所が分かりにくい
  • 痛み止めが効きにくい

初期は冷たいものにしみむことが多く、進行すると温熱痛へと変化します。

急性歯髄炎の原因

  • 進行した虫歯(最も多い原因)
  • 深い詰め物・被せ物の刺激
  • 歯の破折・外傷
  • 歯ぎしり・食いしばりによる負荷
  • 歯周病由来の細菌感染

特に虫歯を長期間放置した場合、炎症は急激に悪化しやすくなります。

放置すると起こるリスク

  • 神経の壊死(痛みが消える=治ったわけではない)
  • 根の先に膿が溜まり、腫れや発熱
  • フィステル(歯茎にできもの)ができる
  • 顎骨感染・蜂窩織炎の危険
  • 抜歯が必要になる可能性

当院で行う診査・診断

  1. 問診・症状の経過聴取
  2. 冷診・打診・温熱テスト
  3. レントゲン・CT撮影
  4. 虫歯・歯周病の確認
  5. 噛み合わせ・生活習慣評価

歯髄が生きているのか・壊死しているのかを精密に判断し、治療法を決定します。

治療方法

① 歯髄保存治療(可能な場合)

炎症が初期段階であれば、MTAセメントなどを用いて神経を残せる可能性があります。歯の寿命を延ばす治療です。

② 精密根管治療(神経を取り除く治療)

炎症が進行して激痛がある場合は、歯髄を除去し根管内を洗浄・消毒します。マイクロスコープ・ラバーダムを用い、再発リスクを抑えた治療を行います。

③ 応急処置(痛みが強い場合)

痛みの軽減を目的に、鎮痛・消炎処置を行ったうえで後日精密治療に移ります。

よくある誤解

「痛みがなくなったから治った?」

いいえ。神経が死んだことで痛みを感じなくなった可能性があります。内部では感染が進行している場合が多く、早期治療が必要です。

「薬だけで治せますか?」

抗生物質や鎮痛剤は症状を一時的に抑えるだけで、根本治療にはなりません。

「抜歯になりますか?」

ほとんどの場合、根管治療で保存できます。ただし歯根破折・重度感染の場合は抜歯となる場合があります。

当院が急性歯髄炎に対応できる理由

  • マイクロスコープによる精密根管治療
  • 歯髄保存治療の選択肢を確保
  • CTによる根尖・骨病変の診断
  • 痛みに配慮した治療・麻酔
  • 静脈内鎮静法にも対応

治療の流れ

  1. 問診・検査・診断
  2. 応急処置・痛みの軽減
  3. 根管治療または歯髄保存治療
  4. 修復・被せ物による補強
  5. 再発予防のメインテナンス

再発を防ぐために

  • 早期受診・定期検診
  • 虫歯リスクに応じた管理
  • 正しいブラッシング・フロス習慣
  • 食生活・間食コントロール
  • 噛み合わせ・歯ぎしり対策

費用について

治療内容(歯髄保存治療、根管治療、被せ物の種類など)により異なります。保険診療・自由診療どちらも対応し、事前に明確な費用説明を行います。

リスク・副作用

  • 神経を保存できない場合がある
  • 根管治療後の再感染の可能性
  • 歯質が薄くなると破折リスクが高まる
  • 痛み・腫れが一時的に続くことがある

よくある質問(Q&A)

Q. どれくらいで痛みは引きますか?

症状により異なりますが、治療開始後数日~1週間程度で落ち着くことが多いです。

Q. 仕事中に強い痛みが出た場合は?

応急処置が可能です。早めにご連絡ください。

Q. 市販薬で対応できますか?

一時的な緩和は可能ですが、必ず歯科受診が必要です。

強い歯の痛みでお困りの方へ

耐えがたい痛みは、体からの重要なサインです。放置しなければ、歯を残せる可能性は十分あります。
つらい状況を一人で抱えず、まずは当院へご相談ください。痛みの緩和と、お口の将来を見据えた治療をご提案いたします。