歯のクリーニングって歯石取りとは違うの?
歯医者でよく聞く、歯のクリーニング。それって歯石取りのことでは?と思っている人もいるかもしれません。確かに、歯石取りも広い意味では歯のクリーニングの一種ではありますが、歯科でいうクリーニングと歯石取りには違いがあります。
両者はよく混同されていることが多いため、今回はこの違いについてご紹介していきます。
歯石取りと歯のクリーニングの違い
◆歯石取りは歯周病の治療として行うもの(保険がきく)
歯石取りというのは、保険治療の範疇で行われる治療で、目的としては、歯周病の治療として行われます。処置内容としては、歯の表面についた歯石を機械的に落としていくという作業になります。
歯石は、歯周病を引き起こす大きな原因となっています。歯石がつくと、歯茎に炎症を起こし、歯茎が腫れた状態となります。ところが、歯石は非常に硬いので、歯磨きでは落とすことができません。そのため、歯科で専用の器具、機械を使って歯石を落としていく必要があります。歯石を落とさなければ、病状はだんだんと進行し、歯を支えている骨を徐々溶かしていってしまいます。
保険治療というものは、日本においては、病気の治療に対して認められるものなので、保険で歯石取りを行うためには、検査をした結果、「歯周病」とされることが前提となります。
◆歯のクリーニングは予防のために行うもの(保険がきかない)
歯のクリーニングは、歯についた着色(ステイン)や、歯の表面のバイオフィルムと呼ばれる細菌の膜を取り除く処置です。毎日歯磨きをしっかりしていても、隅々まで汚れを取り切ることは難しく、着色や汚れがだんだんと蓄積してしまいます。ですが、定期的にクリーニングを行うことで、歯をいつもきれいに保つことができます。また、ツルツルになった歯の表面には、細菌もくっつきにくくなるので、虫歯や歯周病を効果的に予防することができます。
このように、歯のクリーニングは、歯の悪いところを全て治した後に、健康できれいな状態をキープして、虫歯や歯周病になりにくくするという予防歯科の扱いになります。予防歯科というのは、まだ病気が起こっていない状態の段階で、病気を予防するために行うものですので、保険は適用になりません。これは、健康診断や人間ドックが病気の治療を目的としていないので、保険適用にならないのと同じことです。
以上のように、歯石取りと歯のクリーニングは別物ですが、歯をよい状態で保ち続けるためには、両方行っていくことが理想的です。